アート食い倒れ

興味のあることは芸術や現代アートを見ていろいろと考えること。そしてお酒を飲みながら旬のおいしいものを食べて幸せに生きたい、そんなブログ。

ベクシンスキーの美しき終焉の世界

僕が1番好きなアーティストは誰と聞かれればすぐにこの名前を出します。
ポーランド出身の画家ズジスワフベクシンスキー。少年時代にナチス・ドイツポーランド侵攻を経験しており、自分より先に妻をそして薬物の過剰摂取による自殺で息子を亡くし、息子の死に折り合いを付けれなかったといいます。

そんな彼の人生を知った上で作品を見ていきたいと思います。


■ 目次
1、まずは作品を見てみよう。
2、死と絶望の作品を見て何を感じるか。
3、ベクシンスキーに影響を受けた人物
4、退廃芸術のオススメ作家。


1、まずは作品を見てみよう
http://beksinski.dmochowskigallery.net/galeria.php?artist=1
↑はベクシンスキーのHPのpaintingの作品です。

ネットでは「3回見たら死ぬ」や「見たら呪われる」等のウワサが流れてますが、僕は何回も見ているし画集も持っていますがまだ元気に生きているので大丈夫です。

この作品に興味を持たれた方はモノクロのdrawingや晩年の写真をベースにしたCG作品も是非ご覧ください。

昔はもっと不気味なHPでしたが、今は普通のデザインになってますね。


2、死や絶望の作品から何を感じるか?

ベクシンスキーナチス・ドイツポーランド侵攻により廃墟と化す街や人々の死を経験し、妻や息子の死を絶望のエネルギーに替えて表現されたであろう作品は、私たちがその絵の中に入ってしまったら米粒くらいの大きさなのではないかという圧倒的な押し寄せる死と絶望感を感じます。

ベクシンスキーは私たちが忘れてしまっている死という人間が最後に行き着く真理を表現しているように思います。


3、ベクシンスキーに影響を受けた人物と退廃芸術のオススメ作家。

これはネットでもよく言われている方ですが、漫画家の弐瓶勉さんです。
BLAME!という漫画を読めば一目でベクシンスキーをリスペクトしている世界観になっています。
(僕は大好きなので漫画は全巻持っています。)

月まで届く構造物に覆われた遥か遠い未来の地球を舞台にしていて、圧倒的な構造物の中を旅する主人公。巨大な空間に出た時の背景などはそのスケール感はベクシンスキー好きにはハマると思います。

また、気になる点としては、登場人物の名前です。
後半のストーリーに出てくる敵か味方か分からない謎の人物「ドモチェフスキー」通称「ドモ」
そして、ベクシンスキーの大半の作品を所有し「ピョートル・ドモホフスキー」

ポーランド人の名前の発音は日本語にない発音だと思うのですが、弐瓶勉さんはこのコレクターの方の名前を少し替えて作品の中に登場させたのではないかと思います。こう考えると弐瓶勉さんが相当ベクシンスキー好きなのではないかと想像してしまいます。

4、オススメの退廃芸術の作家
2019年3月21日まで札幌市近代美術館で開催している「深井克美展」全く別の目的で札幌に行ったのですが、たまたま見たポスターに惹かれ行ってみました。
http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/knb/
↑美術館のHP

説明には、病に苛まれながら自己を見つめ人間という存在と徹底的に向き合った画家と書いてあります。
彼は30歳で自ら命を断つことになるのですが、その少ない制作期間の中で、彼が見つめる死と絵の中に光が感じられる表現がよく見られるのですが恐らく希望。

死を身近に感じつつそこに希望を感じていたのか、自ら死を選択したことから死自体が希望で救いという意味なのかは分かりません。
しかし、ベクシンスキーに通ずる死と絶望の美の世界は是非見てもらいたい画家です。



このように色々と書きましたがこれは個人的な意見であり、正解は作家本人にしかわからないことです。
しかし見る側はその答え合わせをするために美術館に行くのではなく、好きに色々と解釈していいのだと思います。
アーティストはその色々な解釈を全て内包する作品を作っていると言っても過言ではないので、興味のある作品を見た時にまず解説を見るのではなく自分が何を感じているのかを大切にして見てもらいたいと思います。